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Channel: バージニア労働者
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別れのベル

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雨雲の合間に見える青い空って、安心感があるよね。



金曜日の朝、感謝祭の前日の昼から休暇をとっていた
同僚の女の子が出勤してきた。


彼女とは同じ職場だけれども、ファイナンスチームの方なので
あんまり話をしたことがなかった。


大抵のアメリカ人は感謝祭が終わって次の月曜日から普通に出勤だったので、
彼女は長いこと休暇を取ってたんだなーっていうぐらいしか思わなくて、
普段からあんまり話もしないので(彼女はとても大人しい人なので)
私も普通に金曜日の朝を過ごした。


昼休憩になって、いつも通りにデミ嬢とランチして職場に戻ると
彼女が一人、デスクで携帯をいじってて、
まあ話はそんなにしたことなかったけど、挨拶は毎日ちゃんと交わすし
とても感じが良い子だし、何気なく声を掛けた。


「どこか行ってたの?なんか久しぶりだね。」と。


そしたら、彼女は力なく笑いながら、
「母がね、感謝祭の前日に亡くなったの。」と話し始めた。


彼女のお母さんはちょっと前から婦人系の病気を患っていて、
それでも最近は調子が良かったから安心していたところだったので、
突然仕事中に知らされて、飛んで帰ったそうだ。


「最後に会ったのは6月だったんだよー。次に会うのはクリスマスねって
言ってたのにね。まさかあれが最後だったなんてね。
わかってたらもっと会いに行ったのに。」
と、淡々と話す彼女の顔を、私はただ無言で聞いていた。


ちょっと間を置いてから、
「でも。その日が最後かどうかなんて、誰にもそんなの分かんないよ。」
と私が言うと、彼女の目に涙がどんどん溜まっていき、
そして溢れた。


「Another day(別の日)がないこともあるんだよ。」
と言う彼女をハグして、そして一緒にちょっと泣いた。


ケイエスが何で泣くのよーって笑いながら聞かれて、
私もよくわからなかったけど、彼女が『別の日がないこともある』って言った時に
何かいろいろ考えたら泣けてきた。


会いたい人には、機会があったら会っておこうとか、
愛する人にしてあげたいことがあるならしてあげようとか、
言ってあげたいことがあるなら、今言ってあげようとか、
そういうことを思った。


三浦大地さんの『別れのベル』




この曲がまさに彼女が言わんとしていたことで、
最後の歌詞の、

人は出会う だけどいつかは別れのベルが鳴る
人は気付く もっと大事にしたかったものを
次がないときもあるってことを
もう旅立った君を思ってしまうことを

が、とてもパワフルで心に刻まれる。


彼女と話をして良かった。
これからはもっと話しかけようと思った。



寒いのに、キッチンの植木の花が満開なのです。




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